ただ、まだ血で血を洗う戦争には発展していなかった。スルプスカ共和国(セルビア人共和国)となったとはいえ、
実際にそれを世界に向けて宣言したわけでもないし、まだ平和的に解決出来るかもしれないという希望があった。
俺はまだ小さくて理解しきれていなかったのだけれど、こんな状況でも9人でこっそり会い、秘密基地で遊んだり
出来ていた。以前のように堂々と遊ぶことが出来なくなっても、俺達の友情というか結束みたいのは少しも崩れて
無かったんだ。むしろ、大人たちや周りから、もう遊ぶなって言われれば言われるほど、強くなっていったように思う。
こっちもスレッドがストップしたら、恐らくもうそういった運命だと思うので、書くのは辞めるね。
>>99
なんで50行まで書き込めるのにフルに使わないの?ねぇ馬鹿なの?
>>102
データを間違えて上書きしてしまったから、原稿用紙の文を要約しながら書いてるんだ。
原稿用紙の文そのままだと↓こうなってしまうし、原稿用紙の文は入力しなおしてて、まだ今話してる所まで
追いついていないんだ。
原稿用紙の文そのままのやつね。まだ今話している段階に追いついてない↓
お読みいただく前に
これから書き進めていく体験談は、筆者が可能な限り客観的な視点に基づきつつ書き記したものである。フルヴァツカ紛争やスロベニア紛争に端を発した一連の所謂ユーゴスラビア紛争に関して、筆者はどの国家・民族・宗教・勢力に対しても賞賛や批難・中傷を行う旨はないと予め表明しておく。
これから読み進めていく読者の中には、見知らぬ言葉や表現を多々目にすると思われるが、それに対して出来る限りの補足を付け加えていく。この中では、多くの歴史的背景や宗教が絡むが、どうか一つの物語のように読んでいただけると本望である。
なぜなら、これは戦争の悲惨さや愚かさを伝え、平和主義の啓蒙を行う為のものではなく、そこで何が起きたかを一つの体験談として記し、読者の方々に何かしらのものを感じて頂きたいからである。そして、一般的なマスメディアが活字や映像といった媒体を通して語りかけてくる途方もない情報群の中において、絶対というものはないという事を感じていただきたい。戦争とは悪であるかもしれない。しかし、戦争において絶対的な悪というものは存在し得ないのだ。全ての勢力や人々に、各々が信ずる正義や大義名分というものが存在しており、それがぶつかり合い、折り合うことが不可能になる故に戦争が形となって現れてくるのだ。以上の事を、どうか読み進めていく前に考えて欲しいのである。
はじめに
これから先読み進める前に、読者の方々へは登場する人物がどのような結末を迎えるか先に記しておく。
ソニア…彼女はスルツキ(セルビア人)民兵によって殺害される。
サニャ…彼女は爆発に巻き込まれ死亡する。
メルヴィナ…彼女はスルプスカ警察によって強姦された後、連行される。
メフメット・カマル・ミルコの三名は行方不明となり、生存は未だ不明である。
カミーユ…彼もまた、スルツキ(セルビア人)民兵によって殺害される。
ドラガン…彼は裏切り者であったと筆者は誤解をしていた。
本章 第一部
一、始まりの日
年は先帝の昭和天皇が崩御あらせられた日より一年程経過した頃である。保育園卒業を間近に控えていた私は、卒園式にて披露する歌の練習を行っていた。その後、練習が終わり多くの園児が母親の迎えによって帰宅したのであるが、私は一人教室内にて紙ヒコーキを作り、絵を描きながら母親の迎えを待っていた。私の母は、設計事務所においてパートタイムの仕事に勤めており、保育園へ迎えに来る時間は大変遅かった。この日も、迎えの時間は夕方の六時をとう当に過ぎており、途中から保育士である先生と共に待っていた。この時間にもなると、保育園に残っている園児は私一人になっており、母の迎えをまだか、まだかと心待ちにしながらそわそわしていた覚えがある。
以前は、私が当時楽しみにしていた戦隊シリーズであるターボレンジャーが、保育園の休みの日である土曜日に放送されていた為、待つ寂しさはあれど不満というものはなかった。しかし、放送の途中より金曜日の五時過ぎへと放送曜日・時間が変更されてしまい、私はこの楽しみにしていた番組を見る事が出来なくなってしまったのだ。当時においては、ソニーより発売されていたベータシリーズのビデオデッキが自宅にはありはしたが、予約機能のような多機能搭載の機種ではなく、私はなくなくシリーズ途中から番組の視聴を諦めざるを得なかった。
この日も曜日は金曜日であった。
「今日だけでもいいから。母さん早く迎えに来て。」
そのように祈っていた記憶が残っている。しかし、夕方五時を過ぎ、六時になり、普段と変わらない時間にまでなってしまったのだ。
「ああ。今日もか。」
そう考え、私は保母である先生に駄々をこねてしまっていたかもしれない。少しばかり時間が経過した頃であった。私は普段と違う異変に気がついたのだ。普段の日であれば、例え仕事が長引いてしまったとしても、母は六時半過ぎには迎えに来ているはずなのだ。しかし、私が時計に目をやると時計の針は既に七時近くを指していたのだ。先生も私と同様に異変を感じたのであろう。
「今日はお母さん遅いね。」
そして3月後半になってくると、首都サラエヴォの方でスルツキの民兵達が何かをするらしいという噂が、
街で耐えなくなった。とはいっても、この時はまだ民兵という言葉自体を理解していなかったから、
何かあるんだーといったような感じで、気にも留めていなかったんだ。
4月に入って、どうやらボシュナが国連に加盟するといった情報が流れてきた。
その意味が理解できなくても、周りの大人たちが深刻そうに、そして民族ごとに緊迫した空気を出している事から、
俺達子どもも、かなり不安になってきていた。俺達子どもは、昔この地域でおきた民族同士の争いや悲惨な歴史を
殆ど知らなかったんだ。
実話詐欺の手法はもう限界かもしれない
>>119
よくわからないけれど、これは俺の妄想だと思って読んでくれて構わないんだ。
それをどう判断するかは、全て読んでくれた人次第だからさ。
俺にとっては、書ければそれだけで十分だよ。信じてもらえなくても、
それがここだけで終わろうともね。
特に、親からそういった事を聞かされる機会があるはずもない日本人の俺には、
こうした状況を理解できるはずもなかった。
だけど、俺以外の8人は、ある程度理解しているみたいだった。
ドラガンが「何か起きたら、一旦皆で秘密基地に集まろう。俺達はずっと仲間だ。」みたいな事を
言っていた。皆も「うん。そうしよう。」って相槌を打って、約束したんだ。約束したんだよ。
父さんは、この緊迫した状況を考えて、俺だけでも日本に帰国させようとしていた。
当然、俺はそれを断固拒否するだろうと考えたらしく、俺には内緒で、仕事でサラエヴォに行くと言って、
俺をソニアの家に預けたんだ。今思えば、あれは俺を一人残して、航空券を買いにいったんだと思う。
一人だったのは、サラエヴォが危険だったからなんだろうな…。
「明日になったら、帰ってくるから、いい子にしていなさい。」と言ってた。
翌日の4月5日だったな。俺は父さんが帰ってくるまで遊んでいようと思って、秘密基地でいつものように遊んでたんだ。
ただ、この日に限ってドラガンだけは来なかった。用事があるとか言って。
夕方近くになった頃だった。街の方から大きな音がしたんだ。皆びっくりして、急いで丘を駆け上がったんだよ。そしたら、
街から黒い煙が上がっていて、時々小さな乾いた甲高い音が聞こえてきてた。俺は何の音かわからなかったんだけど、
ミルコが「銃の音だ!」って叫んだんだよ。
血の気が引いたのを覚えてる。ソニアやサニャ達はおろおろして泣き出しちゃってさ。
ミルコやメフメット、カマルは家に帰らなきゃって叫んで、街に向かって走っていった。
止めればいいものを、状況が理解できていなかった俺はぼーっと立ち尽くしていたと思う。
多分、30分位そこでぼーっとしていたかな。もっと長くそこで立ち尽くしていたかもしれない。
大きな音を出しながら、何台かの車がソニアの家の方向に向かって来てた。
あれって何だろうって思っていたんだけど、カミーユが
「スルツキの奴らだ…。」って呟いたんだ。
ソニアは家に帰ろうとしたんだけど、カミーユや俺で必死に止めた。それで、様子を見ようってことで、
カミーユが何時も持ってきていた双眼鏡でソニアの家を覗いてたんだ。
最初は、「スルツキの兵士が家の中に入ってる、外にも何人かいる。」って感じで説明してたんだけど、
途中で「あっ。」って言った後、カミーユは何も言わなくなっちゃったんだ。
メルヴィナと一緒に、どうしたの?って何度聞いてたんだけど、何も言わなくてさ。
おかしいな?って思って、少し身をを乗り出して見たんだ。
そしたら、さっきの車二台が俺達の方向に向かってきてるんだよ。
「何で!?何でわかっちゃったの!?」って口々に言ってたんだけどさ、
カミーユが涙目になりながら、わからないけど目が合っちゃったって言うんだ。
今考えれば、その理由はすぐわかるよ。でも当時はそんなのわからなかったんだ。
ただ、カミーユは俺のせいだ。俺のせいだ。って泣いてた。
このままだと、もしかしたら俺達は捕まってしまうかもって思ったんだ。考えてみれば、
敵かどうかもわからない。それなのに、俺達はもうそのスルツキ達を敵だと思ってた。
多分、あれは直感というか本能的なものだったと思う。だって、味方は銃を持って来ないでしょ。
双眼鏡の反射か。狙撃手の基本だがガキじゃ仕方が無い
>>151
お前何者だよ
>>153
いや、双眼鏡で光が反射すると場所バレるじゃん。それかなと思った
>>158
そうだったのか…。てっきり相手と目があったからだと思ってた。
少しずつ車が近づいてくる音がして、この場所にいるのは不味いと思ったんだ。
俺は4人に急いでこの場所を離れて隠れようって言った。俺は泣いているソニアの手を引っ張って、
カミーユとメルヴィナはサニャの手を引っ張って、急いで走った。だけどさ、結局俺達は8歳そこそこの
小学三年生ぐらいの子どもだった。例え俺達が必死に走ったところで、逃げ切れるわけがなかったんだ。
200Mくらい離れた小さな木の下に隠れたけれど、ゆっくりと車が近づいてくるのがわかった。
心臓が高鳴って、次第に息苦しくなってきたんだ。頭の中では落ち着け。落ち着けと言っているのに、
体中から汗が出てきて、静かにしなきゃいけないのに、鼻から息が吸えなくてさ。口で音を出しながら
息をしてた。すぐ隣のソニアやサニャ達は、泣かないように必死に口を押さえてるんだよ。
でも、カチカチって歯の音がしちゃってさ。止めようとしても、その音が止まらないんだ。
正直に言って、俺はもうだめだと思った。殺されるとか、そういうのはまだわからなかったのに、
ああ。もう終わった。そんな感覚に陥っていた。多分、皆も同じ感覚だったと思う。
車の音も大きくなってきて、スルツキの民兵達の声も、鮮明な声ではないけれど、聞こえてきた。
何か恐ろしいことを言っていた気がするけれど、恐怖でそれを理解するほど、覚えているほど
その時の俺には余裕がなかったように思う。
スルツキの連中がそこまで過激な手段を取った背景は何なんだろうな
いつも疑問だったわ
>>163
それはさ。禍根が次世代に引き継がれるからなんだ。
殺さなければ、殺される。今までの歴史がそれを証明してきた。
じゃあ、子どもは?
子どもはさ、次世代の敵になるんだ。だから、[ピーーー]しかない。
そういう考えなんだ。多分、平和の中で暮らしていたら一生共感出来ない
考えだと思う。俺も理解は出来るけど、共感は出来ない。
スルツキだけでなく、フルヴァツキもボシュニャチも同じ考えだよ。
そして、その考えの元で行動した。
>>173
そうか やらなきゃいつかやられる状況だったのか
当事者にしかわからない事なんだろうけど、一度タガが外れると想像も出来ない事が起こるんだな
>>190
タガは外れてないんだ。皆罪悪感はあるんだよ。でもその罪悪感をも超越する程の、
他民族への恐れ、怒りや憎しみがあったんだ。だから、自分達の民族のためと
自分に言い聞かせながら殺したりしたんだ。中には本気で楽しんでいた人もいたかもしれないけど
スルツキの人たちだけが野蛮で殺戮をしまくっていたってわけじゃないんだ。
現に、それに反対するスルツキもいたんだよ。でも、民族の敵といって、
そういったスルツキの人も殺害の対象になってしまったんだ。
戦場の中は、皆普通の心理状態じゃないんだ。もしかしたら、
他の民族に同情した同胞が、自分達に銃を向けてくるかもしれない。
それほど疑心暗鬼に陥る状態だったんだ。
今までの歴史とか宗教とかが絡み合って、想像できない状態になってたんだ。
見つかるのも時間の問題だったんだ。そしたらさ、少し離れた所に隠れていたカミーユが俺を後ろに引っ張って、
小声で囁いたんだ。他の女の子には聞こえないようにしながらね。
「このままだと見つかってしまう。俺がスルツキを引き付けるから、その間に皆を連れて逃げてくれ。」
それを聞いて驚いたよ。そしてもしかしたら助かるかもなんて考えてしまった。でも、それをやったら
カミーユはどうなる?
「危ないよ。ここで皆で静かに隠れてよう。」
俺は慌ててそう言い返したんだ。だけど、カミーユは、それだと見つかるって。皆殺されるって言うんだ。
「引き付けた終わったら、後を追いかけるから大丈夫。」
俺はわかったって答えた。もうそうするしかないように思えたんだ。
そしたらカミーユはニコって笑ってさ、良かったって言うんだ。そしてさ、
「サニャの事、俺が戻るまで守ってあげてね。」って。
そう言い終わると、俺の返事を聞かずにカミーユは俺達が隠れている方向とは反対側に身を低くしながら走っていったんだ。
俺は3人に、カミーユが引き付けるから、その間に逃げるって伝えたんだ。
ソニアやサニャは駄目駄目って言うんだけど、メルヴィナは「そう。」って呟いただけだった。
スルツキの民兵が俺達まで20、30メートルぐらいまで近づいた時だったと思う。向かい側の離れたところから、
カミーユの声が聞こえたんだ。たしかスルツキを馬鹿にするような言葉を発していたと思う。
それに気づいたスルツキの兵士たちが大声を出しながらそっちに走っていってさ。
俺達はそれを見て少し経ってから急いでその場から逃げたんだ。
メルヴィナがサニャを、俺がソニアの手を引きながらガムシャラに走った。そしたら、後ろの方から乾いた音が何回か聞こえたんだ。
パパン、パパンだったかな。それと同時に、さっきまで叫んでいたカミーユの声が聞こえなくなった。
俺は、まさかと思って、立ち止まりそうになったんだ。引き返さなきゃって。
そしたら、メルヴィナが
「止まっちゃ駄目!」って言ったんだ。引き返したら、カミーユの行動が無駄になるって
こんなところで晒し者にされちゃってるなんてみんな(´・ω・)カワイソス
>>202
かわいそうだよ。その通りだよ。
でも約束だからね。そして紛争前は民族が混在していたけれど、
今は違う。ボスニア・ヘルツェゴビナ領内でもボシュニャチとフルヴァツキで住んでいる場所が
わかれているんだ。そして連邦のもう片方、スルプスカ共和国にはスルツキが住んでいる。
スルプスカにいたボシュニャチはどうなったと思う?逃げたか、殺されたかだよ。
逆もまたしかり。そして今、スルプスカでは連邦から独立したいって考える人が
再び増えてきた。だから、戦後にあっちの国の人がいったんだよ。
「現在でもバルカン半島は世界の火薬庫だ」って。
これを書くのは皆に悪いことかもしれない。でも絶対悪にされたスルプスカやセルビアの人々の
禍根は、未だに消えてない。そして、それが恨みとなっていつ爆発するかもわからないんだよ。
俺が最初にどの勢力も賞賛・批難・中傷するつもりはない。って言ったのは、
俺が1995年1月にオーストリアへ脱出するまでの間、ボシュイニャチの民兵とも、
そしてスルツキの民兵とも行動を共にしたからなんだ。それは後で書くつもりだったけどさ。
でも、俺には止められないんだよ!そういうのをもう起こしたくないから、体験を広めてと
言われたのにさ!何も出来ないんだよ。無力なんだよ。出版してどうだ。
誰もわざわざ買って読まない。アップロードしてどうだ。誰も読み出そうとしないよ。
だって面白いものは沢山転がっていて、そしてこの紛争は日本にとって遠い国で起きた
自分達には関係がない話だから。
出版はね、ぶっちゃけていえば、何社か持ち込んだけど断られたんだよ。売れないってね。
今ではそれでもいいと思ってる。いつか誰かに読んでもらえればって。
でもそんな時間ももうないんだ。だからこんなとこで、大切な仲間の死をさ、面白おかしく
書くしかないんだよ。それで、何かを感じてくれて、あわよくば、もっとバルカン半島の現状に
目を向けてくれれば、それでいいんだよ。無力なんだよ。俺はさ。
>>211
無力じゃないよ
昨日スレ立ててなきゃ、それこそ誰にも読まれなかったんだから
多分、>>1が想像する以上に多くの人がROMってる
レスに反応するにしても、出来たら本編投下後にしてもらいたい
>>211
それパー速の煽り荒らしだから気にするな
つか、ここまでしっかり返したレスは初めてみた希ガス
ごめん。ちょっと言い過ぎた。202が悪いわけじゃないのに。少し頭冷やしてきます。
>>212
典型コピペの一つだから気にするな
>>212
無駄でも無力でもないさ
お前の気持ちを全部理解することは到底できないけど、みんなに少しずつ思いを伝えることはできているはずだ
ごめん。気を遣わなくていいです。どうせこれは俺の妄想なんだ。
妄想だから、罵倒して不謹慎な作り話しやがってと思ってくれ。
そしてもし、何があったのか気になったら、ネットでもいいし
書物でもいいから、良かったら読んで欲しい。
憎しみというかシコリがある民族同士じゃ解決できないことが一杯あるんだ。
それが出来るのは誰?麻生元首相が、パレスチナとイスラエルの子どもを
日本に招待して交流の場を設けたり、橋渡しをしようとしていたよね。
日本なら出来る事もあるかもしれない。
この俺の不謹慎な妄想を読んで、もし気になったら、小さな力でもいいから、
橋渡しの土台になってほしいんだ。小さな柱でも、それが集まれば丈夫な橋、
広くて長い橋になると思うんだ。他人の力まかせで本当に申し訳ないけど。
それじゃ続き書きます。明日も会社に行かなければいけないので、3時になったら
寝るね。書き込めるのは、もしかしたら8時過ぎるかもしれない。そして、
明後日もやらなきゃいけない事があるから、明後日は夜の12時には書くのやめて寝るよ。
予定狂って、もしかしたら書き終わらないかもしれないけど、その時は許して欲しい。
メルヴィナがサニャを、俺がソニアの手を引きながらガムシャラに走った。そしたら、後ろの方から乾いた音が何回か聞こえたんだ。
パパン、パパンだったかな。それと同時に、さっきまで叫んでいたカミーユの声が聞こえなくなった。
俺は、まさかと思って、立ち止まりそうになったんだ。引き返さなきゃって。
そしたら、メルヴィナが
「止まっちゃ駄目!」って言ったんだ。引き返したら、カミーユの行動が無駄になるってね。
息が続く限り走ったと思う。それでも、移動した距離は1キロにも満たなかっただろうけれど。
肩で息をしながら、もう大丈夫だね。って言い合った。
そこからは歩いて山の下まで行ってさ、夜になるまでカミーユを待ったんだ。だけど、結局カミーユは来なかった。
薄々皆気づいていたよ。あの音がしたときに、カミーユは殺されちゃったんだって。でも、信じられなかった。
もしかしたらって思ってさ。口にする事が出来なかったんだ。
気づいたら、皆涙流しててさ、人が死ぬって事はまだそんなに深く理解できる年ではなかったけど、
それでも涙が一杯出てきたんだ。カミーユがさ、サニャの事が好きだってのは気づいてた。
それに、サニャもカミーユが好きっていうのは知ってたんだよ。俺は。
だけど、怖くて止められなかった。カミーユが引き付けてくれれば、助かるかもしれないって思って。
泣きながら、サニャに「ごめん。ごめん。」って何度も謝った。俺が殺したようなもんじゃないか。
そしたら、サニャはさ、自分だって悲しいはずなのに、無理して笑顔作って、
「祐希は悪くないよ。」って言うんだ。
太陽が沈んで、辺りが暗くなった頃、夜の山に子どもだけだと危ないからといって、
山から出て道をあてもなく歩いた。何でこんな事になってしまったんだろうとか考えながらさ。
沢山の星が綺麗に輝いてるのにさ、下は地獄だって思ったよ。
1・2時間くらいかな。それくらい歩いてたと思う。いきなり草むらから音がして、何人かの大人が出てきたんだ。
またスルツキかと思って、びっくりして逃げようとしたんだ。だけど、ソニア達のヒジャブを見たからか、
俺達がボシュニャチだとわかったみたいでさ、ボシュニャチの大人がこっちに来なさいって言ってくれたんだ。
あ、俺は日本人だけどね。
その人たちは、街で起きたことを教えてくれてさ、これからフォーチャへ向かって、
それからゴラジュデに向かうから一緒に来なさいって言ってくれた。
ソニアやサニャは家に帰りたいって言ったんだ。だけど、街にはスルツキの民兵や軍が来て
ボシュニャチやフルヴァツキの人たちを連れて行ってしまったから、行っちゃ駄目だって。
首都のサラエヴォでも戦争が始まったって言っててさ。
俺達は黙ってついていくしかなかった。
ライトを着けないで、街の反対側の山から向かったんだ。車の中でさ、俺はまた泣きながら、
カミーユに親切にしてもらったのに、俺は…って泣き言を言ってたんだ。
そしたら、サニャが俺の背中を擦りながらさ、
「カミーユが小さい頃に死んじゃったお兄さんが祐希とそっくりだったんだよ。
初めて会った日にカミーユは嬉しそうに話してて、友達になりたいって。
大丈夫だよ。カミーユは怒ってないし、悲しんでもいないよ。安心して。」って。
そんな感じの事を言われたんだ。その時、俺が眺めていた時に何で話しかけてくれたのかとか、
何で休み時間に教室に来てくれたり、一緒に沢山遊んでくれたり、優しくしてくれたりしたのかとか、
不思議に思っていたことが繋がってさ…。
好きだった子が死んじゃって、俺よりも長く一緒に過ごしてた子が死んじゃったっていうのに、
メソメソしている俺を慰めてくれてるサニャを見てさ。
あの時俺が勇気を出して行ってればって。俺が行けば良かったって後悔した。
それと同時に、カミーユとの約束、サニャを今度は俺が守らなきゃって。
何かあったらカミーユのようにしてでも守らなきゃって誓ったんだ。
まさか、これからさらに悲惨な未来が待っているとは、想像もしていなかったよ。
車で舗装された道の近くまで来たところで、大人たちがここから先は歩いて向かうって言ったんだ。
俺達は、何で歩いていくの?まだ遠いよって言ったんだけどさ、フォーチャへ向かう道はここしかなかったんだ。
サラエヴォでは、スルツキ(セルビア人)の警察や軍が都市を包囲して戦いが始まっててさ、
この道にもスルプスカの軍がいるかもしれないから、歩いて山を越えることになったんだ。
とはいっても、実際に山中を登って下ってというわけではなくて、道から数百メートルはなれた木々の中を
歩いていったんだけどね。まだ夜で周りは真っ暗でさ、すぐ目の前もよく見えなかったんだ。
月明かりだとか、星空だとかで案外見えるんじゃないかって気もしてたんだけど、木々に覆われた中では
光が枝や葉に遮られてしまって、本当に暗かった。周りは風で揺らされた枝や葉がこすれる音とか、
時折鳥か何かの声がしたりして、とても不気味だった。それでも、例え怖かったとしても、
進まなきゃいけなかったんだ。サラエヴォに向かうのは危険なんだ。だから俺達に残された道は、
ゴラジュデしかなかったんだよ。
幼い俺達にとって、夜寝ないで歩き続けるって言うのは、想像以上に辛いものだった。
家族がどうなったかわからないし、俺も父さんがサラエヴォでどうなったか、生きているのか、
それとも俺がカリノヴィクを脱出した後に戻ってこれたのか、心配してないか、
色々と不安だった。不安という一言では伝えきれないほど、頭の中では色んな事がごちゃごちゃと
渦巻いていたように思う。体力的にも、限界は近づいてきていて、足は重いし、足元も良く見えなくて
おぼつかない。時折、ガサガサと音がするだけで皆が伏せてさ、常に周りを警戒しながら歩いてた。
真っ暗でよく見えないお化け屋敷の中を延々と歩くようなものかな。いや、起伏に富んでいて、
足元が悪く、そして見つかったら殺されるかもしれないという不安が追加されているけれどさ。
もう歩きたくなかった。大人におんぶしてもらえたら、どんなに楽だろうって何度も思ったよ。
でも、俺達は言い出せなかったんだ。なぜなら、俺達よりも小さい子が歩いてるんだよ。
俺達よりも辛いはずなのに歩いてるんだ。だから耐えるしかなかったんだ。
とはいえ、徒歩で山中を歩くのは時間がかかる。
空が赤くなり、少しずつ夜が明けてきた頃だったと思う。フォチャ途中にある
ミジュヴィナという街のすぐ近くまで来ていたんだ。内心、やっと休めると
安心したよ。だけど、周りがどんどん明けてくるに連れて、その考えが甘かった事に
気づかされたんだ。小さな街なのだけれど、そこからは黒い煙が立ち上っていた。
誰も口には出さなかったけれど、カリノヴィクと同じ状況になったというのは
明白だった。
煽りには反応しないで黙々と書き込んでくれ
反応するだけ時間とレスの無駄だから
しかし、このままフォーチャに向かうのは不可能だったんだ。俺達のグループは、
大人数名に子ども数名、そしてまだ1歳ほどの赤ちゃんまでいたんだよ。
まだ4月とはいえ、喉はカラカラに渇いていたし、お腹もすいていた。
赤ちゃんに至っては、もう元気がなくてぐったりしていたんだ。
だから、一人の男性が街に行って、食料とかを調達してくることになった。
もしスルツキ(セルビア人)に見つかったら殺されてしまうのではないか?といった
疑問もあったけれど、彼はスルツキ(セルビア人)とボシュニャチ(ボスニア人)の
ハーフだったから、大丈夫だよといって出かけていった。
待っている時間はとても長く感じた。もし帰ってこなかったらこのままフォーチャに向かうしかない。
そして、向かったとしても、このミジュヴィナと同じ状況になっているかもしれない。
未来が見えなかった。希望の光が見えなかったんだ。幼い俺ですらその状況なのだから、
大人たちはもっと深刻に感じたいたかもしれない。まだ肌寒い季節なのに、
そういった変な興奮状態からか、体は火照っていたように思う。恐らくは、
疲労の為に体が熱くなっていたのかもしれないけれどね。
ごめん。もう無理だ。スレで人を煽るのは大丈夫だったのに、煽られると、
思っていた以上に辛いんだな。あー、もう正直無理だ。
父さんに原稿託して終わらせる事にするよ。
これは妄想でした。不謹慎な作り話してしまって申し訳ありませんでした。
これでいいよね。
ただ、もし良かったらユーゴ紛争について調べてみてください。
そして関心を抱いてくれたのであれば、どうか彼らの力になってあげてください。
それが出来るのは、バルカン半島の民族感情だとか宗教だとか、利害だとかと
あまり関係のない第三者、日本・日本人だと個人的に思うんだ。
皆に押し付けてしまって申し訳ないけれど、どうかよろしくお願いします。
子ども達が安心して暮らして、そして笑って大人になれるような世界を、
彼らにもどうか見せてあげて欲しいのです。それでは、おやすみなさい。
内容について煽られたわけじゃないのになんだこの>>1ww
そんなだからお友達(笑)もみんなレイプされて殴られて爆発して死んじまってテメーだけ生き残ってんだよ
所詮構ってちゃんだったってこったな
>>257、268
はは。だから言ったじゃないか。俺は生きる価値ないってな。
悔い改める機会も与える価値がないってさ。
だから死んで一人地獄に行くからいいんだよ
天国の皆に会えないけどそれは俺の所業から来るものだからいいんだよ。
もう俺に構わなくていい。忘れてくれ。構ってちゃんはおしまいさ。
約束したんだろ?
誰とかわからないけど
おまえ今あとちょっとってとこまできてるんじゃないか?
おまえのためにも書いてほしい
俺?俺は自分が読みたいだけだけど・・・
>>269
まだ4分の1も書いてない。別に一言でうんざりしたわけじゃない。
積もり積もって、そしてどうだ。旧ユーゴについて関心を持ってくれたと
思いきや、そんなだからお友達(笑)もみんなレイプされて殴られて爆発して死んじまってだぜ。
はは。俺にはそんなのに耐えながら書くのは無理だったって話さ。
だからこんな糞みたいな人生歩んできたんだろうな。
約束はもうここらへんでいいでしょ。妄想ってことでいいでしょ。
何人かの人は関心を持ってくれたからいいよ。ありがと。
逃げる俺を好きなだけ批難してくれ。卑怯者で地獄に行く人間に相応しい贈り物だ。
ここは>>1のためにあるスレだから、>>1がこれで終わりというなら、
そうなんだろう。
ただ、一つだけその体験を抱えて生きていくのは凄く辛くて、
終わりのない苦悩だろうから、それを終わらせるのには
死ぬしかないと思ってるのかもしれないけど、自殺しても
お友達は向こうで再会を喜んでくれるかな?あなたが
与えられた天寿を全うして、愛する人に囲まれて見送られたとき、
みんなと笑って会えるんじゃない?なにも知らない、わからない自分が
こんなこというのはおこがましいけど、1には絶対に死んで欲しくない。お願いだよ。
>>281
彼らと再会できるなんて思ってない。俺は地獄行くからさ。
ドラガンが俺達の場所ちくったと思って、ずっと憎んで生きてきたんだっつうの。
それだけが俺の生きる支えだったつうの。俺は何かを憎まなきゃ生きれない弱虫なんだよ。
それがどうだ?Facebookでミルコ達が生きてるかもって調べてたら、ドラガンの弟がいるじゃねぇか。
恨みを言おうとコンタクト送ったらどうだよ。笑えるよ。ドラガンは俺らの事庇おうとして、俺らが襲われた日に
殺されてるんだからな!裏切り者って恨んでた俺は何なんだよ。俺らの為に犠牲になった奴をずっと
15年以上もうらんでたんだぜ。生きる価値なんてねぇんだよ。苦悩を終わらせるんじゃなくて、
未来だとか希望だとかがあるってわかっていながら生きるのが許せないだろ。
だから自分を自分で死刑にするんだって。これは俺への罰なわけ。
俺は屑なわけ。
>>293
今度はドラガンに感謝しながら生きつづければいいじゃない
ドラガンが死をもってしてもなお、庇たかった命は確かにいま、そこにあるじゃないか
>>293
お前はドラガンの事、「知らなかった」「誤解していた」だけだろ。
お前はその誤解が許せないのかもしれないが、
じゃあさ、お前等を救おうと思って命散らせたドラガンの気持ちはどうなる?
カミーユの気持ちは?
彼らはお前等に生きていて欲しいから自分の命懸けたんだろ?
そのお前が死んでどうするんだよ?
彼らの気持ちに応える為にも、お前はそういう気持ちを引きずってでも
生き抜かなきゃいけないんじゃないのか?
>>293
誰かに助けられた命なら、他の人へつないで。
みんなあなたにまで戦争の犠牲になって欲しくなったんでしょ。
自分の知らなかったことを知って、自分を罰するといって死んだとしても、
それはやっぱり戦争の犠牲になることに見える。
>>293
生きてる価値なんて高いも低いも無いだろ
そもそも、価値をはかろうとするほうがおかしいだろ
カミーユにしろドラガンにしろ、>>1含めてみんなに生きてて欲しいと思ったから、
今、こうして書いてる>>1がいるんじゃないか
このまま自罰的に生きることを望んでると思うか?
とりあえず明日以降も待ってるから
お休み
>>293
さっきから聞いてりゃ、お前はずいぶん独りよがりなやつだな
お前が今その地獄乗り越えて生きてこられたのは誰のおかげなんだ?
一人で地獄を生き抜いたとでも言うのか?
もはや自分ひとりの命じゃなかろうに
罰だ何だといってるけど、結局は逃げてるだけじゃないか
ドラガンを裏切り者だと恨んできたのと同じ
今度はその対象を自分に変えただけ
お前に出来ることはこの先も生き続けて、戦争の悲惨さを語り続けることじゃないのか?
二度とユーゴスラビア紛争みたいな子供が犠牲になる戦争を起こさせないことじゃないのか?
それがみんなに生かしてもらったお前に出来る唯一のことだろうに
あーもうあれだ。日本帰ってきてから、些細な事でカッとなったり、落ち込んだり、
自分の感情を上手くコントロール出来ないんだわ。社会人なって生活では大分改善したけど、
ボスニアでの事考えてる時とか、絡んでる時は、未だに頭おかしい人間になるんだわ。
最初に言っとくべきだったな。もう俺がへんちくりんな事言っても、スルーしていいよ。
煽り苦手みたいだから、心ここにあらずで書いていくよ。構ってちゃんでごめんねー
それと、心配させてしまった人、ごめんね。ありがとう。
読んでてイラつく人もいるだろうけど、無理して読む必要ない話だから、
無理しないでね。それじゃ、自分のペースでゆっくり書くよ。
12時位には寝るので、それまでの時間で。
もう、長々と書く時間もないと思うので、明日、遅くても日曜日までには終わらせるよ。
それじゃー
彼の帰りを待ち続けてから、4時間か5時間ほど経過していたと思う。時計を持っていなかったから、
何時頃かまでは正確にはわからないけれど、お昼近かった、もしくは過ぎていたかもしれない。
待っている途中に、何度か道路を車が通り過ぎて、その度に皆で伏せたりして身を隠し、物音を
立てないようにしていた。普通であれば、通り過ぎる車は市民であったり、伐採した木材を運ぶ
トラックだったりしたのだけれど、この時通過していった車は、武装警察か民兵、あとはユーゴから抜けた
スルプスカの軍隊ぐらいだったと思う。
もしかすると、フォーチャも既に同じ状況かもしれないという不安が、車を目にするたびに
確信に変わってきていた。それでも、街から彼が戻ってこない限りは、どうする事も出来ない。
何時になったら戻ってくるんだろう。もしかして何かあったのかもしれない。そんな不安も過ぎっていた。
だけど、何かあれば街から音がしたりするんじゃないか、いや、距離があるから聞こえないといったやり取りを、
大人たちはしていた気がする。俺やメルヴィナたちは、特にする事もなく、
息を潜めながら、小さい子ども達をあやしたりして待っていた。
すると、朝に食料や水を取りに行ったボシュニャチの人が、スルツキの青年二人を連れて、俺達の隠れている
方向に向かってきたんだ。皆混乱した。何人かの大人は、彼が俺達を売ったと言ったり、仲間に
なってくれるんじゃないかと言ったりして、話し合っていたんだ。しかし、このままここで待っているのは
危険すぎる。もし本当に彼が俺達を裏切ったとしたら、俺達の運命は終わったも同然なんだ。だから、
この場から離れて逃げようといったり、隠れてスルツキの青年たちの様子を見て、隙があれば殺そうと
いったりして、揉めたんだ。この時、話し合いを聞いていたけれど、子ども達は長時間の移動と、
緊張の連続で疲れ果てていた。だから、淡々と、「どうなるんだろう」と考えたりしていて、子ども達は静かだった。
結局、すぐに結論が出る話ではないわけで、俺達は見つかる前に、とりあえず隠れる事にしたんだ。
様子を見てから決めても遅くは無いってね。相手は武器も持たない青年二人。両手に大きな荷物を持っている。
例え武器だとしても、取り出す前に殺せると考えたんだろうと思う。恐らく、100メートルぐらいまで近づいてきた頃かな。
ボシュニャチの彼と、スルツキの青年二人が、手を振り出したんだ。
もしかして、俺達を狙っていないんじゃないかって大人が言い出した。でも、また別の人が、いや、これは罠だ。
って言い出した。どっちかわからないんだ。他民族どころか、もう同じ民族の人間ですら、朝まで仲間として共に
行動していた人間ですら信用できなくなっていた。おれ自身も、日本人ではあるけれど、この時は
自分もボシュニャチの仲間・同胞といった様な意識が芽生えていたように思う。
それからしばらくの間、俺達は三人のことを注意深く観察したんだ。実際に観察していたのは大人で、
俺達子どもはその様子をちらっと見たり、聞いたりするぐらいだったけれどね。
何か手を振る以外に何らかの行動を取ると大人たちは思っていたみたいだけど、
彼らが何かをする素振りは見せなかったんだ。ただ、手を振って、そしてじっと待っているだけだったんだ。
そしたらさ、こんな時に限って、先ほどまで静かにしていた赤ちゃんが泣き出したんだ。
そりゃそうだよね。もう丸一日以上ろくに水分補給もしていないし、赤ちゃんが泣くのは
仕方が無い。でも、タイミングが最悪だった。当然、彼らはすぐにこっちに気づいたよ。
大人たちは、彼らと目があったのか、それとも彼らがこっちに振り向いたのか、
「あぁ・・・。」といったような諦めの言葉を発した気がする。
気づかれてしまい、もう駄目だといったような雰囲気が、俺達の中を包み込んだんだ。
だけど、彼らはこっちに気づくとさ、ニコニコしながら向かってきたみたいで、
俺達の目の前まで来た時も、安心したような表情を浮かべて、3人で来た経緯を話してくれたんだ。
彼らが話していた内容は、長くて殆ど覚えてないから、簡単に要約するけれど、
スルツキの青年二人の街ミジュヴィナでもカリノヴィクと同様の事が起きたんだ。
つまり、非スルツキの人々にスルツキの警察が襲い掛かってさ、
連れて行ったり、抵抗する者は見せしめに殺害・レイプしたりしたらしいんだ。
それでさ、ハーフの彼が街に入った時、ちょうど亡くなった遺体とかを積み上げていた
ところだったらしい。
それでさ、この時一緒についてきたスルツキの青年二人が、ハーフの彼に気づいたらしいんだ。
そして、ここは危ないから、早く逃げるように言ってくれたんだって。だけど、食料と水が
ない状態ではゴラジュデどころか、近くのフォーチャにもたどり着けないって言ったんだって。
小さい子どもや、年配の老人もいるから、食料と水が必要って。そしたら、二人がわけてあげるって
言ってくれてさ、そして自分たちもついていくと言ったんだって。ハーフの彼は断ったらしいんだけど、
もし自分達がついていけば、万一民兵や警察に見つかった時でも、二人が出て行けば誤魔化せるかもしれない
からってさ。
支援
参考までに、google map
http://maps.google.co.jp/maps?f=q&source=s_q&hl=ja&geocode=&q=%E3%83%9F%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%8A&sll=43.487801,18.219452&sspn=0.713387,1.160431&brcurrent=3,0x0:0x0,0&ie=UTF8&hq=&hnear=%E3%83%9F%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%8A,+%E3%83%9C%E3%82%B9%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%84%E3%82%A7%E3%82%B4&ll=43.502496,18.741646&spn=0.178303,0.290108&z=12
彼らが言うには、ミジュヴィナの街で、その虐殺というか、さっき言った様な事態が発生した時に、
何人かのスルツキの人々は、ボシュニャチやフルヴァツキの人々に危害を加えるのに反対したらしいんだ。
昨日まで隣人として暮らしていた人を[ピーーー]のは止めようって。でも、そう言った人たちの殆どは、
警察に酷い暴行を受けたり、殺されてしまったんだって。だから、自分たちはこんな所に居れない。
居たくないって事だったらしいんだ。
あ。ごめん。写真で見れるんだ…。少し見てていいかな。少し時間を下さい。
話を聞いた後、大人たちだけで話し合って、結果的には一緒に行動する事になったんだ。
それで、山の中で食事や休憩を済ませた俺達は、夕方になるのを待ってから、
フォーチャに向けて歩き出したんだ。フォーチャへの道のりは、車だとそこまで遠い
わけでもないのに、とても長く辛く感じた。これからどうなるかもわからない不安の中で
歩くのは、とても根気のいる事だったんだ。夕方の時間帯は何とか大丈夫でも、
夜になればどうしても眠くなるんだ。ただ、夜のうちに行動したほうが安全だからと
言われて、歩くしかなかった。
人間ってさ、本当に眠い極限状態の時は、どんな状況でも寝れるみたいでさ、
子どもだけでなく、大人でさえも、半分寝ながら歩いていたんだ。
子どもに至っては、ふらふらしながら歩いていてさ、危ないからということで、
皆で手を繋いで、一列になったんだ。小さい子がうとうとしても、大きな子や
俺達ぐらいの年の子が転ばないように注意しながら支えて歩いたんだ。
それで何とか、朝が明ける前にフォーチャ付近までたどり着いた。
フォーチャの街に入るには、本当は橋を渡った方が近いし楽だったんだ。
だけど、橋の付近にはスルプスカの警察や軍が検問を張っているかもしれない。
一緒について来てくれたスルツキの二人が、橋は避けたほうが良いと言うので、
俺達はフォーチャ手前で川を直接泳いで渡り、超えることにしたんだ。
ただ、体力的にも限界が近づいていた俺達には、水の中を泳いで渡るのは
とても過酷だった。渡る途中で、母親におんぶされていた幼児が流されてしまってさ。
助けなければいけないのに、誰も泳いで幼児の所まで行く体力が残っていなかったんだ。
母親は子どもの元へ泳いでいこうとしたんだけど、他の男の人に止められたみたいで、
結局俺達は、その幼児が流されて沈んでいくのを見ているだけしか出来なかった。
川を渡って、山の方からフォーチャ市内へ向かった。街は、カリノヴィクやミジュヴィナと違って、
家が燃えたり人の悲鳴が聞こえたりといった状態にはなっていなかったんだ。
俺達はほっとして、そしてスルツキの二人が念の為様子を見てくると言って、先に街の中へ
入っていった。多分1時間くらいして戻ってきて、大丈夫だから行こうという事になった。
この日は、カリノヴィクから逃げてきてから大体二日ほど経った日で、92年の4月7日だった。
もし、フォーチャでもカリノヴィクと同じ事が起きていたらどうしようと思っていたけれど、
実際にはまだ何も起きていなくてさ。とりあえず、皆安堵して、親戚や知人がいる人たちは
その家に向かい、行き場のない人達はモスクへ向かったんだ。以前ソニアやソニアパパと来た時は、
街もかなり活気があって、人々が溢れていたのだけれど、この時は人が少なくて、多分外に出ていなかった
んだと思う。それがとても印象的だった。
俺達が向かったモスクはさ、前にソニア達と一緒に来たモスクだったんだ。あの時は、まさかこんな形で
再び来ることになるとは思わなかったけれど、安心した気がする。これからどうしたらいいのかとか、
父さんは無事なのかとか、色々と聞きたいことや不安は山積していたのだけれど、緊張や疲労から
体力的に限界がきていた俺やソニア達は、着いてからすぐに寝てしまったんだ。
たったの数日、二日ほどの出来事だったのに、ゆっくりと安心して建物の中で寝られるのが、
とても久しぶりに感じた。
目が覚めたときには、もう辺りは暗くなっていて、夜になっていたんだ。かなり長時間、
寝入ってしまっていたんだ。起きたら何だかトイレに行きたくなってさ、俺は大人の人を
呼んで一緒に行ってもらおうと思ったんだ。早朝まで暗い山や森の中を歩いて来たというのに、
トイレに一人で行くのが怖かったんだ。変だよね。
でも、周りを見渡してもモスクの中には大人が誰も居なかった。
あれ?おかしいな。もしかして夢なのかな?とか、まだ寝起きで頭がぼーっとしていた俺は
思っていたんだ。だけど、少ししてさ、外が騒がしいのに気づいた。
どうしたんだろうと不思議に思って、モスクの外に出て周りを見渡したんだ。
そしたら、街中から人の悲鳴とかが聞こえてきてさ、時々、つい先日耳にしたのと
同じような乾いた銃声の音が聞こえたんだ。嘘だと思った。やっと安心できると思ったのに、
たった一日、いや一日も経たずにこんな事ってあんまりだと思って、自分の目を疑った。
でも、何か目を擦っても、耳を叩いても、目に見える光景や音は変わらなかったんだ。
そしてよく見るとさ、街の所々から火とか煙が上がっていて、信じたくなかったけれど、
これが夢の世界の出来事なんかじゃなく、現実に起きている事だと受け入れるしかなかった。
そう考えたらさ、さっきまで何ともなかったのに、急に足の力が入らなくなってしまって、
地べたにペタンと座って立てなくなったんだ。心のどこかで、もう逃げ切れないんだな、
ここで死ぬしかないんだなと感じた。希望を持たなければここまでショックを受けなかったと
思う。だけど、フォーチャに着いて、もう大丈夫かもしれないと希望を持ってしまったんだ。
それをもがれるのは、まだこの時は耐えられるものではなかった。
それから少しの間、その状態のまま座っていたと思う。気づいたら、周りに一緒にここまで
行動してきた大人達が居て、その人たちも同じように唖然とした表情で街を見つめていた。
恐らく、最初から近くにいたのかもしれないけれど、街の状態でショックを受けていた俺は、
気づかなかったのかもしれない。そのまま俺はまたじっと、燃える街を見ていたんだ。
そしたら、ソニアが起きてきて、俺の隣に来たんだ。
「祐希ー、街綺麗だねー。わー赤い星がいっぱいだよー。」
といった感じの事を笑いながら言うんだ。一瞬、俺はソニアが何を言っているのか
理解できなくてさ、表情を見たら、何か笑っているけど、ぼーっとしていてさ、
目の焦点が合わないような変な表情をしていた気がする。おかしいって
思って、何言ってるのか何度も聞いたんだ。だけど、ソニアは笑って
綺麗だね、しか言わないんだ。物じゃないけどさ、
ソニアが壊れちゃったと思った。
俺はどうしたら良いのかわからなくて、ソニアの事も相まって少し混乱しちゃってさ。
もう考えるのは無駄かもだとか、諦めようとか、マイナスの事を考えたりしたんだ。
だけど、このまま諦めたらソニアやメルヴィナ、サニャはどうなるって思って、
このままだとカミーユの行動が無駄になるって考えたんだ。サニャ達を守るって
誓ったのに、このままだとその誓いも破ることになってしまうって。
だから、3人を連れて街から逃げようとしてさ。
行くあてもないし、ましてやこの国の人間ではない自分には頼れる人もいない。
それでも、ここに留まっているよりは、マシな選択に思えたんだ。
逃げるなら、今のうちしかないと考えた俺は、ソニアの腕を引っ張って、
モスクの中に戻った。そしてまだ寝ていたメルヴィナやサニャを起こして、
「ここは危ないから街の外に逃げよう。」
と言ったんだ。メルヴィナもサニャも、起こしたばかりだから
少し寝ぼけて反応が薄かったけれど、外の音が聞こえたみたいでさ、
何が起きているの気づいたらしく、「うん。」と答えてくれた。
だけど、遅かったんだよ。余っていた食べ物とかを集めていたら、
もうモスクの直ぐ近くにスルプスカの警察が来てしまったらしく、
大人達が騒ぎ出したんだ。大人達がスルツキだ警察だって叫んで、
早く逃げなきゃって思ったんだ。ソニアは警察だから大丈夫だよって
笑っていたけれど、その警察がボシュニャチやフルヴァツキの市民を
連行したり暴行したり、殺したり、レイプしたりしてるんだよ。
もうこの街に正義の味方、少なくともボシュニャチを助けてくれる
味方はいなかったんだ。
そんな感じでモタモタしている内に、モスクの周りのは更に騒がしくなっていた。
外に居た大人たちは、慌てながらモスクの中へ逃げ込んできたり、他の場所に
逃げようとしたみたいだった。だけど、他の場所へ逃げようとした人に向けて、
警察は銃を発砲したらしく、乾いた銃声が周りから聞こえて、外の悲鳴とかは
少しずつ聞こえなくなった。
その状況を見ている内に、もうモスクは警察に囲まれていたんだ。
モスクから逃げようにも、幼い俺達が走って警察から逃げ切れるはずもない。
最悪、カミーユのように俺がお取りになって、サニャやメルヴィナ、ソニアの
3人だけでも逃がそうと思った。もう9人の中で、男は俺しか居ない。俺しか
3人を守れる人間はいないって思ったんだ。
でも、現実はそんな英雄的な行動をおいそれと取れるものじゃなかった。
少し間をあけて、警察たちが銃を手にしながらモスクの中に入ってきたんだ。
多くの人は、隅っこに下がったり、布を被ったり、伏せたりした。
だけど、そんな事をしても意味なんてないんだよね。彼らは俺達の様子を見に来た
わけじゃないのだからさ。警察官達は、大人の男だけじゃなく、
隅っこで震えている子どもや女性、お年寄りの顔を一人ひとり確認していった。
俺達の所にも近づいてきて、俺はさっきまであんなにお取りになろうと
考えていたのに、怖くて足も動かないし、声も出ないんだ。本当に動かないんだ。
動かそうと思っても、心が折れてしまっていたんだ。
警察の人の顔は、暗くてよく見えなかったけれど、その時はとても怖い顔をしていた
ように見えた。一通り、性別や年齢とかを確認し終えると、警察官は大人の男性や女性を
無理やり引っ張って連れて行ってしまったんだ。当然、男の人は暴れたけれど、
外に引きずり出された後に銃声が聞こえて、その人の声はもう聞こえなくなっていた。
変な話だけど、この時ぐらいからだと思う。人が殺されても、あまり感情とかが
湧き上がらなくなってきていたんだ。ああ、またかといった感覚に似ているけれどさ。
警察が去った後は、皆ぼーっとしながら、夜が明けるまで座っていたと思う。赤ちゃんとかは泣いたりしていたけど、
それをあやす母親はとても憔悴しきった顔をしていた。もしかしたら夫があの時連れて行かれたのかもしれない。
だけど、そんな事を聞けるような状況でもないし、正直に言えば、もうソニア達3人以外の事を考える余裕なんて
俺にはなかった。
それから数日経ったけれど、時々街中で銃声や悲鳴が聞こえるぐらいで、初日ほど騒々しい
状況になることはなかった。スルプスカやスルツキに忠誠を誓う印として、生き残った
ボシュニャチの人々は家の前や屋根に白い布とかを掲げて、自分もスルツキの一員だといったような
合図をしていた。後で調べて、これが警察とかから指示されたものだと知ったよ。
この白い布や旗っていうのはさ、今考えてみれば、自分がボシュニャチですと公言しているような
ものなんだよね。この家や建物にはボシュニャチがいるぞ!って。
かといって、白い布を掲げなければ、殺されたり拷問されたりするんだ。
掲げても暴行やいやがらせを受けて、時には見せしめとして殺害されレイプされ、
掲げなくても殺害・レイプ・暴行をされる。自分が標的にならないように祈ることしか出来なかった。
もう希望なんて正直消え失せていた。この街から逃げたくても逃げ出せない。
街の所々にはボシュニャチの人々の収容所とかが作られたりしてさ、
男の人は暴行、処刑されて、女性は数人がかりでレイプされていたらしい。
この時は、そんな事になっているとは知らなかったけどさ。
何もする気力が起きないし、する事が無い。何日もぼーっとしてたんだ。
そしたら、モスクに元々いた年配の人がさ、
「君はムスリムなのか?」
って聞いてきたんだ。だから、違うって答えた。そしたら、
「何で我々と一緒に行動するんだ」って言うんだ。
何でってそんなの俺が知りたかったよ。だけど、
友達と離れたくないから、友達を守らなきゃいけないからって答えたんだ。
そしたらさ、君は異教徒で異民族かもしれない。だからこそ、生きて目にしたものを
伝えなさいって言って、藁半紙みたいなノートを数冊くれて、鉛筆も何本かくれたんだ。
今こうして書いている内容の元は、この時にもらったノートに書いてある日記というか、
起きたことを書いた文なんだ。元々さ、カリノヴィクに居た頃から
絵日記みたいのはつけていたんだけど、あの時は急だったから持って居なかったし、
取りに行ける状況じゃなかった。だから、このカリノヴィクから逃げる時期や
フォーチャでの出来事、これから先の出来事は多少細かく書けるんだけど、
その前の出来事は、時々思い出みたいのが書いてあるぐらいだから、
今じゃどんどんその時の記憶が思い出せなくなってきているんだ。
それがとても怖い。
ちょっと休憩。書き始めるの遅かったので、一応1時まで書いてみます。
細かく書くと、全然進まないから、これから先書くのはもっと短く要約するね。
ごめん。わからない所があれば聞いてください。
あー、この人のお陰で記録を書くことは出来たし、この人との約束も、
俺が前に書いた約束の一つではあるんだけれど、こうして体験を
書き込まなきゃいけないっていうのは、この人との約束ではないんだ。
後でぱぱっと書くけど、この後、ボシュニャチの民兵と一緒に行動する事に
なるんだけれど、その人との約束なんだ。
そして、その後に死なずに今まで無様に生きてきたのは、
ボシュニャチの民兵と離れた後に行動を共にしたスルツキの民兵のお陰なんだ。とりあえず書いていくね。
前のよりも出来るだけ短く書きます。
殺しや暴行レイプをしていたのは警察だけ?そのときスルツキの市民はどうしてるんだ?
>>126
それには答えにくい。場所によって違うんだ。
警察だけのとこもあれば、民兵や市民も混じって暴行や霊王、殺人をしたりしていた場所もある。
それに反対する人だって当然いたけど、反対したらその人も民族浄化の対象になって、
反対できなかったりとかもあったと思う。逆もまた然り。
日にちは経って、4月22日になった。
この日も、ここ数日のように過ぎていくと思っていたんだ。
だけど、違った。スルプスカ軍か、民兵か、警察かはわからないけれど、
フォーチャにある歴史あるモスクが次々に破壊され、爆破されたんだ。
もう俺達が気づいた時には、街中から轟音が聞こえて来ていた。
また始まったと思ったけれど、この日はいつもと違ったんだ。
この日の標的は、俺達とは関係ないボシュニャチの人ではなく、
俺達自身だったんだ。急いで荷物をまとめて、モスクから逃げようとした。
大半の人は逃げていたけれど、サニャが忘れ物をしたといって、モスクに走って
戻ったんだ。俺は駄目だよ。危ないよって何度も叫びながら止めようとしたんだ。
でも、サニャはカミーユの荷物があるから取りに行くって言って、止まってくれないんだよ。
必死に追いつこうとしたけど、この時のサニャの足は速くて追いつけなくてさ、
モスクのすぐ隣に生えている木の所でやっとサニャの手を掴んだんだ。
そして、危ないから俺がとりに行くって言った瞬間だったと思う。
耳がつぶれるかと思うくらいの轟音と一緒に、目の前が真っ暗になって、
気づいたら10数メートル吹き飛ばされてたんだ。
一瞬、何が起きたのかわからなくてさ、耳もキーンとして聞こえないし、目もよく見えなかった。
体中にも激痛が走ってた。だけど、感覚はあるし、どうやら自分が無事だって事は何とかわかったんだ。
それではっとしてさ。そういえばサニャはどこだって。
でも、自分の手はサニャの手を握ってるんだよ。だから、
無事で良かったって思ったんだ。
だけど、違ったんだよ。耳とか目の視力が回復してきて、よく見たら、サニャの手しかないんだよ。
俺は丁度木の陰に隠れて、打撲で済んだけれど、サニャは木の陰に隠れてなかったんだ。
俺よくわからなくなっちゃってさ。サニャどこに隠れたんだろってサニャの事必死に探したんだよ。
でも、周りにサニャ居なくてさ。あ、モスクの中に隠れたかもって思ってさ、
崩れ落ちたモスクに行こうとしたんだ。モスクの中に運よく隠れたんだって思ってさ。
そしたら、メルヴィナが俺のところに駆けてきてさ。
危ないから早く離れるの!って言うんだ。
でも、まだサニャがモスクにいるから、いるから!って俺何度も言ったんだ。
サニャに手を返さないと、くっつかなくなっちゃうから早くしないとって。
よくわからないけど、俺泣きながらサニャ早く出てこないと、手返さないよって叫んだんだ。
そしたら、メルヴィナにビンタされてさ。かなり痛かった。
「サニャはもう駄目なの!祐希まで死んじゃったら私たちどうしたらいいの!」
みたいな事を泣きながら言うんだ。
もう駄目だってそんなのわかってるんだよね。わかってるんだ。
木の陰がとか、そういうのはその時は気づいてなくてもさ、
手首から少し先がもぎ取られたみたいになってるのを見れば、そんなのわかるんだよ。
でも、そういった現実は俺には認められないんだよ。だって、俺はカリノヴィクでカミーユに
サニャを守ってねって言われて、約束してるんだよ。その後、カミーユの代わりに俺が
サニャを守るって誓ってるんだよ。
情けないけどさ。俺それから数日の記憶なくてさ、気づいたらフォーチャからソニアやメルヴィナ、そして
何人かの大人と、赤ちゃんとか小さい子ども数名と一緒に山の中にいたんだ。
俺さ、サニャよりも足はずっと速いんだよ。
怪我でもしてない限り、サニャに追いつかないはずないんだ。
あの時、俺が追いつけなかったのは、多分、俺がビビッてたからなんだ。
俺は守るとか調子良い事言ってたにも関わらず、またビビッて、何も出来ずに
今度はサニャを見殺しにしたんだって気づいてさ、悔しくて、悲しくて、
そして憎くて涙が止まらなかったんだ。
>>1すごいよ・・・
俺とたいして年が変わらないのにこんな地獄をを生き延びいて
しかもそれを記録して誰かに伝えることを考えてるなんて・・・
>>148
そんなたいそうなもんじゃないんだよ。こんな話、思い出したくもないし、早く忘れたかったよ。
でも毎日のように夢に出てくるし、ボシュニャチやスルツキの民兵の人と行動を
共にしなかったら、例え生き延びてもとっくに自殺してる。もしくは犯罪者になっていたと思う。
彼らのせいで人生が狂ったけど、彼らのお陰で生きているってのもあるし、
約束して色々と託されたから、それをやらないまま勝手におしまいなんて出来ないんだ。
ただそれだけなんだよ。
頭おかしくなるし、マイナスな事ばかり考えるようになるし、自分が嫌で嫌でたまらなくなるんだ。
夜寝ようとして、暗くすると、銃声が聞こえるような気がして目が覚めたりするんだ。
未だに、ちょっとした物音がするだけで、反射的に目が覚めるんだ。
あーもう何が言いたいのか自分でもよくわからない。ごめん。それじゃ、おやすみ。
はぁ。ごめん。今夜はここまでにして寝ます。
また明日の夜、書いて、出来れば明日には
書ききれるようにしたいと思う。
もしくは明後日の日曜までには。
ごめん。それじゃ、お休み。
おやすみ。
俺は21の大学生だけど国境なき医師団の看護師を進路として考えてる
でも(ほぼ)日本を捨てて海外に単身行くのは勇気がいるし、この話読んで決心できたらなんていうか
俺の人生のターニングポイントになる気がする。そんな感じ。興味深く読んでるよ
>>171
看護系の大学で学んでいるのかな。それとも大学を出た後に看護学校へ行くつもりなのかな。
俺なんかに何も言う資格もないんだけれど、貧しい地域やインフラが整っていない地域で
活動するのは、とても大変な事だと思うんだ。もしかしたら、失うものの方が多いかもしれない。
得られるものは、人々の貴方への感謝の気持ちと生きる素晴らしさだけかもしれない。
それがもし、貴方にとってお金や物にもかえがたい素晴らしい事であるなら、
是非、彼らの力になっていただければって思う。あ、そっちに行く前に
日本で経験を積んだほうが、きっと後で役に立ってくると思うけれどね。